詩歌

短歌6首

愛すべき優しすぎるばかどもよおれにももっとばかにならせろ おまえらはみんなばかだと叫びつつおのれがいっとうばかでありたい 「静かに」の標識見ると田舎から出て来たいまも祖母に会いたく ぼくが幼いころ、祖母は豊中に住んでいて、滋賀に住むぼくたち一…

短歌(追記)

下に載せた、 扇風機きるよと言うと信じられないという顔でぼくを見るきみ という歌は、 yutagon24 氏の云っていたとおり、“そのまま”でおもしろみがないな と感じたので、詠みなおしてみる。扇風機きるなと云ってるきみの顔ぼくもなんだか暑くなったな 追記…

俳句3句

夏の夜に帽子はいらぬ風をこげ 茄子白飯〔しろめし〕持参し胡麻油〔ゆ〕かけて食う 雨の音部室で独り湯を沸かす

短歌2首

コーデュロイ暑さに耐えかねボタン・フライ諦めジップのチノパンを買う 鏡をば偏光フィルタを通して撮れば私が裂かれるそんな気がして

短歌2首

ぬばたまの暗室籠もり夜もすがらあけて目をさす朝の色かな 恋う人を知らぬ孤独の苦しさにきみに恋するふりをしてみる

短歌

友がため漫画の箱をあされども出でてくるのはわが悩みのみ

夢の生活の乖離

どうやら 夢の中の生活は ぼくからはなれていってしまうようだ もう1人のぼく かれによって いまやそれは生きられている 〈魂〉の生成!超越的な! もはやぼくには記述できそうもない

俳句(無季)

覚めて独り胸の底には残り酒

短歌

眠らぬ夜未〔ひつじ〕の木々に隠れらん朧月をば想いつつ喫む

俳句

怪談に怖怖怖〔ふふふ〕と嗤う宴あと

俳句(無季)

空色の記憶を銀にこめて撮る

短歌(改作)

そのままのきみを綺麗に撮りたくて魚眼レンズを傾けるぼく

短歌(自由律)

袋詰めの metamorphosis 想像力で 犯せとぼくに云っている

死んでしまった gynoid たちのために

死んでしまった gynoid たちのために ぼくは 詩を詠い かの女たちの世界をもう一度顕わそうとした けれども せかいは偽物にあふれてしまった 記号の顔をした偽物にかの女たちを構成していたことわり その探求と再構成の試みは無駄だ なぜなら そこから完全な…

俳句(無季)

なにを……なにを…………なにを……

年の終わりの詩

年の終わりに忘れるまでもなく すべてはまるで夢のできごとのよう 年の終わりを待つまでもなく ぼくはすっかり変わってしまった ほんの数ヶ月前の自分のことでさえ どんな気持ちだったかもうわからない きみの気持ちなど知りえようはずもない

2人の gynoid が殺される夢

2人の gynoid が殺される夢をみた 〈魂〉をもった2人の gynoid が かの女たちは2つの塔で殺された その光景はいく度となく繰り返された かの女たちは次々に〈顔〉を見せ その顔はたびたびに違っていたかの女たちを愛した者どもよ きみたちはまだそのことを知…

川柳

酔いどれの呻きを肴に呑む酒ぞ

主題詩「徳利」(散文詩1篇,短歌1首)

以下の詩歌は、William Yaroughs 氏と、Archenology(仮)氏とともに、そろぞれがぼくの出した主題によって詩を詠んだ際の作である。なお、細部に改変を加えた。 きみが呉れた徳利に いまでもぼくはなみなみと 酒を注ぐことができない 溢れさせちまうのが怖…

俳句(無季)

9月6日に霧島ホテルにて詠む。 打たせ湯の水面〔みなも〕に揺らめく夕の火よ

倦怠と覚醒の夜

躰は奇妙に怠く わたしの四肢に嘔吐を迫る 身体の認識は侵され グロテスクに変容する 混沌の塊がわたしを囲み しかしそれはわたし自身の造形でもある 流線型に感覚される後頭部は わたしに成りそこねた臓物を溜め込んでいる 倦怠と覚醒に苛まれる暗闇の夜 全…

俳句(無季)

わが思い全てを文字にできるなら

綺麗な女の子になって

ぼくはむしろ 綺麗な女の子になってかの女を抱きたい と思う 綺麗な男の子になったぼくがかの女を抱いているところなど 想像できないけれど 綺麗な女の子になったぼくがかの女を抱いているところは 現実から遠すぎて かえって想像しやすい あるいはぼくの中…

短歌二首

会いたいが会えば気まずい片思いされど会えれば嬉しさぞ勝る 来て欲しいメールは待てども暮らせども来ぬがスパムは画面を埋める

短歌

こんなときも恋の歌えぬぼくがため代りにきみが歌ってくれよ

俳句(無季)

曇り夜の真中に見つけた一つ星

赤緑色の線

網膜に焼き付いた その赤緑色の線は いつか私に訪れるはずの 断絶を思わせる 私はそれを一時でも早く 思考の外へと追い出したいのだけれど 瞼を閉じても 私は逃げられない

鈴木芳樹氏へと捧ぐ二首の短歌

更新を待ち続けていたウェブログのフィードを外すその悲しさよ いや、あるいは外さずにおくべきか。 持ち主の往ってしまったウェブログのフィードはしばし外さずにおく 関連ウェブサイト pêle-mêle(鈴木芳樹氏)

短歌

4月20日に奈良公園にて詠む。 どのコイを招き寄すかとわが心濁る水面に独り泳ぐかも

短歌

白タイで会わんと思いしわが祖母は雪の舞う日に骨となりけり 備考 [id:yuta3_21:20080117:tanka] に掲載した歌を改作。