『煙か土か食い物』

この作品の含む「純文学」的な主題(血、暴力、生死)は、戦後日本文学においては決して珍しいものではないだろう。しかしミステリという形式によって書かれたこの物語からは、独自の破壊力が感じられる。そしてそれは勿論ミステリという手法を用いているから、というだけではないだろう。
アマゾンのレヴューで同様のことを書いている人がいるが、どこか町田康に近い魅力もある*1

*1:尤も、町田康の持つ「余裕のなさゆえの余裕の魅力」とでもいうべきものは、充分に現れていないが。