一側面からの批判の容易さ ―― 朝日新聞の投稿記事に対して

昨日の朝日新聞の「声」欄に寄せられていた投稿記事が酷かったので、反対意見を書いてみた。採用されるか分からないが、一応朝日新聞の方にも送ってみるつもりだ。以下に掲載する。

一側面からの批判の容易さ

物事を一つの側面から批判することは容易い。だが批判とは本来、物事を複数の側面から検討したうえでなされるべきものである。

10月1日の本欄に「アニメ番組に変わらぬ批判」という題で、この35年間アニメ番組に変わらぬ批判が寄せられてきたのに、それが実際の番組に反映されていないのは悲劇だ、との意見が述べられていた。しかし、果たしてそうだろうか。

確かにメディアには、世間の批判をしっかりと受け止め、それを検討することが求められるだろう。しかし、決して全ての批判を受け入れる必要はないはずだ。その批判が的外れのものである場合には、寧ろその批判に屈せず、自らの姿勢を貫き通す姿勢が求められるのはずである。

このアニメ番組の例を取ってみても、この批判に対する反対意見もまた常に存在しているのである。私にはどちらの意見が正しいのかは分からない*1。しかし、その反対意見を全く考慮せずに、同じ批判が繰り返されているのならば、それは全く偏った意見にしかなり得ない。

充分な検討を経ずして行われた批判によって、メディアがその姿勢の変更を余儀なくされたならば、それこそ悲劇である。

*1:本当は反対意見の方に賛同したいが。