『夜来たる』―― Asimov 珠玉の短編集

夜来たる (ハヤカワ文庫SF)

SF の短編に求められるものの、その最もたるものとして、価値の転倒と云うものがあげられるだろう。そして本書に収められた短編は、何れもその条件を満たしている。

下に表題作についてのネタばれあり。

  • 一般に狂気を象徴するのは一般に月〔luna〕であるが、本当に狂気を掻き立てるのは星の方だろう。星の象徴する無限にも思われる空間は、まさに狂気的である。
  • 本作は記紀の岩戸のエピソードを想起させる。その恐怖は圧倒的に大きいだろうが。
  • 文明は一箇所に纏まってしか築かれていないのだろうか。そうでなければ他の地点では夜にはならないはずだが。それとも順次夜が訪れて、それに従って順に滅びて行くのだろうか。

mixi 2006年9月29日