腐肉に種まく者たち――工藤哲巳のために

未来すらも ひとたび一つの思想において仮想現実として定められたならば
腐り爛れてゆく
だが その腐肉のうちよりなにものかが生じることを私たちは知っていなければならない
その腐臭が私たちに 人間であることを 腐肉に種蒔くものであることを 教えてくれる
腐ることを知らず ただ潜在から潜在へと生きるものたち
かれらは自ら種蒔くことを知らない
死霊であることの恐怖をひたすらに先送りすべく
私たちは種を蒔きつづける
その種から生まれるのは
新たなる腐敗をもたらす無数の思想であると知りながらに