短歌 27 首

たれをかも会う人にせん 決め倦ね ただ偶然を待兼の山

眠れない暑い空気のせいじゃないむしろ温度の欠如がゆえに

夢がもう叶わなぬことにうすうすと気づきつつある少女のように

まだ中二病から抜け出せない少女 ぼくの隣でポエムを詠んで

本物のファリック・ガールに生えているファルスはきっと美しいはず

あが友の危うい恋のあくる日にあなたはなにを明かそうとする

また恋をする女へときみなりて ぼく物語から字引きへと

鳥の声 飛行機の音 虫の音 また鳥の声 きみは地中だ

Je t'aime と I love you はどれほどに違うのだろう きみに問いたい

きみがもしガイノイドだというのなら 黙ってきみの「顔」を見つめる

虫のなく秋の夜長にコンビニは遠く湿気モクの山を漁る

許さぬ と云われたことを乗り越える 大阪の夜 信号は赤*1

ニコ動の時報を聞いてなん時間? これが楽しくて寝ないんじゃない

友がみな院試に受かりゆく日々よ 鼻に煙草の灰が入った!

どうしても起きなきゃいけない朝がある きみは遠くにいるのだけれど

触れるより触れられたい と思うのだ 異なる性をもつあなたには

触れられるよりも触れたい 同じ性もつあなたとの違い知るため

6 時には名を知らぬ鳥鳴き始め ――出会いを夢に求むべからず

長月に喪服を脱いだけどきみの遺した毒はまだ吐き出せず

もういっそ刺してほしいと願えども あなたの腕はもう消えている

消失という言葉もてあの日々を語れどもそに尽きるわけなく

いま戻りたる人の顔眺めれど やまぬ孤独の意味は分からず

生と死の 2 つの文字を組み合わせ 記号の呪い葬り去らん

あを指して リア充 と呼ぶおまえ あが顔をなぜ 思い出せない と云う

Check it out と叫ぶテレビを殴りつけ 街でなにかを探す気もせず

これなるは知識のレメディ 希釈したドグマを読めばもう騙されぬ

ようぐそうとほうとふ! いあ! いあ! などという叫びをあげたくなる夜明け前