短歌 13 首

カッターの芯を折るとき 根元から折れてしまえ と密かに望む

あの人は白い下着を洗うとき漂白剤を入れるだろうか

薄汚れたブラウン管の TV の画面に指で 生きろ と書いた

タッカーに 1 本芯を入れて持ちその 1 本も錆びるまで待つ

俊足の少女になりたい 秋の夜をゆっくり歩きつつそう思う

りっちゃん とだれか云うたびアイマスの話にわざと勘違いする

その本が机の上から落ちたのはこちらの世界が最善だから?

そんなふうに泣きたい夜もあるものね きみの背中をぼくは蹴るけど

――在学中打ち込んだことはなにですか
――終日ひねもす惰眠を貪ることです

大好き と 2 回言われてその先を想像したら怖くて萎えた

Je t'aime と云われることは恐ろしい je きみ aimer とに te が潰されて

黒っぽい装いをしてコンビニに煙草を買いにちょっと出かける

麺汁と麦茶誤り売ったとうヘリコプターは今日も飛ばない