覚めつつある呼吸器

酒の覚めつつあるぼくの咽が咳払いをして
少しだけ憂鬱になってくる
ぼくはあまり鼾をかかないが
そのことに特別な理由を求めるのは
きっと間違っている
だから
ぼくと並んで寝ている人たちの
そのうちいくつかは鼾であるようやな寝息の
いずれがだれのものなのか
わざわざ布団から出て確かめる必要はない
そう言い訳をしてぼくは
かれらの寝息から意識をはずし
自らの呼吸に意識が向かうことも避け
覚めつつある咽から逃れるべくして
入眠を試みる