酸欠の人魚あるいは大樹の巫女

かの女は酸欠の人魚であるが
それゆえかの女は海溝に聳える大樹の巫女となる
大樹は核を貫き再び天へと向かう
私はマントルにすら達することはできず
熱圏に達するまえに墜落してしまう

私はかの女を大樹へと導くべく命じられたが
かの女は幻へと揺らぎ
私は一度ひとたびかの女を見失ってしまう

私は声をかの女が水泡へと込めた声を聞いた
しかしそのことにより私とかの女とは
海と地へと引き裂かれてしまう
(屈折と反射により歪められたかの女の姿)

海と交わることはそのとき背徳となった
地と交わることは実際には禁じられていないのだが
私はそれを認められずにいる
そうして私はただ天に向かって虚しく勃起しているのだ
永遠の果ての絶頂アクメを渇望しながら