1969 年の歪んだギターを爆音で聴きながら
わたしは夢から戻る途中に
現実とよく似た世界へと迷いこんでしまった
わたしは鈍い不安に侵されているのだが
ここではその不安にすら霞 がかかっているやつらの亡霊に満ちたこの世界には
わたしだけしかいないから
わたしはわたしが分からくなって
霞 の中に消えていってしまいそうだ歪んだギターの音は
霞 を紫 へと染め上げていく
わたしはそれを大きく吸い込もうとして
だけどいま溜まっているものをうまく吐き出せないでいるわたしはこの
身体 と紫の霞 を同化させることすらできないのだ
きっと現実のわたしの身体 からは
こちらでわたしが吸い込んだ紫の霞 が吐出されているだろう
わたしは願う
きみがその霞 を吸わずに済むことを
そうすればきみはこちらの世界にやってくるのかもしれないけれど……