短歌 18 首

欠損は埋まったのです 双色のジグソウ・パズルのようにではなく

直観で恋をしているぼくたちに排中律は要らないのです

生き延びた者を殺した罪のもとぼくはあなたをけして許さぬ

ぼくたちの間主観性の実在を信じてみよう 詩人として

こうやってまた郷愁が増えていく 非連続なる「過去」と現在

混乱を齎す残滓 昔日の衝動起こしたる感情の

比較など無意味 好き という言葉ただ繰り返すだけでいいのだ

思考実験の過程で出来た詩をだれかに見られる前に捨てよう

妄想を口にしたならぼくたちの世界は混乱したまま凍る *1

なにかが違う なにかが違う なにかが違う 埋め尽くされて真っ黒になる*2

冷静な装いをした誠実さ それも 1 つの見識ですね

黒色のポリエチレンの袋見て吐きそうになる……泣きそうになる

真っ白な灰の煙草ができました 赤い灰皿おまけに附きます

Camel を喫んでもこの渇望が治まるわけなく蜃気楼を追う

忘れてはいけないはずのことなのに 忘れようとし じっとシャワーを

忘れてはだめだ! ここから抜けだそう 焦ってカミソリで唇切る

年の差を感じる きみの面皰にきび洗顔フォーム使うそのたび

あがシャツのボタンを舌で 1 つづつ数えるようなことをされたら