2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

道具主義の「真理」と、世界そのものとしての「真理」

以下の内容は「哲学基礎 A」の講義において考えたものである。 道具主義(Pragmatism)*1において目指されているものは何だろうか。そこでは〈私たち〉にとって有用なものが、合意によって「真理」であるとされる。しかしそれを「真理」と呼んでしまうことに…

心身問題に関する試論

以下の内容は「世界の思想 ――認識するとはどういうことか――」の講義において考えたものである。 感覚器官により、私の身体に与えられた刺戟が、神経信号に変換される。これが言語野に伝えられ、言語的に認識される。この言語化の働きこそが〈私〉である、と…

『飼育、死者の奢り』

作:大江健三郎 大江健三郎氏の作品は、以前特に選びもせず読み始めた作品が好みに合わず、それ以来全く読んでいなかったのだが、やはり他の作家への影響等を考えると、読まないわけにはいかないと感じたので、比較的好みに合いそうな、初期の作品から読んで…

"The Matrix"

監督:Wachowski 兄弟 主演:Keanu Reeves 楽しめる映画だったがいくつか気になった部分があったので、以下に記す。 たとえ Matrix が虚構時空だとしても、そこに法則が働いている以上、その法則を支配するシステムにアクセスするか、バグを利用するか以外に…

『イノセンス』

監督:押井守 この作品では CG を違和感を覚える程にまで用いることに依り、奇妙な現実感と虚構感が現れている。現実的表現と虚構的表現が入り乱れ、その境界線が曖昧になる。この様な表現は、虚構コンテクスト*1の高いアニメーションという媒体でなければ、…

『ネコソギラジカル』

作:西尾維新 なんか色々バランスが崩れかかっていたけれども、キャラクターのインフレーション等々を考慮すると、まあなんとか巧く纏めたといった印象。いや、やっぱり崩れてしまっているかもしれないが。シリーズ全体の長さとしては妥当だと思われる。戯言…

mixi 転載(2006年7月分)

mixi における作品評などの記事は、こちらのブログの記事の下書き的性格を持たせていたはずなのに、昨年の7月以降転載等をほとんど行っていない。1年近く前の記事もあるので、今以上に稚拙なものも多いが、SNS という閉鎖空間にとどめておくのは、何となくも…

グロテスクなシ

ぼくにはもう、グロテスクになりたいという衝動しか残されていなかったのですよ。かれはぼくに語る。この上なくグロテスクに息絶えているかれは。自分をグロテスクに変容させたいという衝動しか、と。 かれは少しずつ、それ以外の現実を失っていった。グロテ…