2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

救いとしての自己変容――あるいは自己変容と他者

今セメスターの N.N. 教授の「自己変容論」講義の期末レポートの準備をしているなかで、先セメスターの同じシリーズの講義で発表したさいのレジュメが出てきたので、掲載する。なお、発表後の質疑応答をうけての改変などはしていない。また、本稿においてと…

短歌4首

諦めしわれに希望をあたえたる車の消えしに茫然と在る 遅すぎた気付くのがあまりに遅すぎた愛をいったいだれにか語らん 遅すぎた青春に後れたくないよしよう深夜の勉強会を わが側にだれも居ないせめてもの近くの部屋のピアノの音色

短歌4首

戦争とう言葉の意味も知らぬまま反戦の歌を詠うことできず きみという金糸の本に目移りし文字おう速度はたしかにおちて ラブ・ソング聴いてるうちに忘れてた死への恐怖なぜか蘇り 本当に逢いたい人は遠すぎてきみに逢いたいふりをしてみる

短歌3首

魂の不死などもう望まないからこの退屈から連れ出してくれ ただ一つ水出し緑茶ということをたよりに夏の坂道をこぐ なにひとつしなかった日に湯を浴びて汗流すことに感じる罪悪

短歌3首

甘藍を剥いた芯見て8月の6日の近きが思い出された 夢のなか曇り空下ピクニック覚めて目をさす昼陽の光 野菜さえ美味くなければ夏なんてところにゃにどときてやるもんか

短歌5首

われのごと試験監督居る部屋で子らは安らに解けるだろうか 一度とも通わなかった塾という空間でいま子らを監る違和 この子らの中にも格差あるらんと思えど実感なきは傲慢? 痛いからでも悲しいからでもなくて眠いからから寝るとうことの幸 朝風呂のあとに Co…

短歌6首

“短歌では[……]言葉の嘘が許されます”俵氏云うが Kant 許さじ 濃紺の制服着背を向けソファーに寝ていたきみはきっときみじゃない なによりも会いたい人は居ぬだろと分かっていながらたが居ると問う すべて歌に虚実ない交ぜに詠えば新たな現を見出せるやも …

短歌4首

あの子とはいつから会わぬ恋人を従妹と偽り寮へと招く 図書館に春樹全集欠番が多く孤独の夜はすぐそこ 右目にて見れば Joan Miró のよう腕の黒子に落つる髪の毛 待つことは楽しくもあると思い出すボンゴレのため砂抜きをして

短歌3首

3度目の朝にきみは綺麗だと言えたら賭をつづけられたのに ぼくがこんなにまいっているのは夏の暑さのせいにすぎないのです なに1つきみには云わぬ Husserl の「超越論的」理解するまで

短歌4首

わがうちの吟遊詩人心病みどこへともなく行ってしまった 暗室の現像液の最中〔さなか〕より浮かび迫り来る あなたが好きだ 宿酔の朝環状線に乗り続ければきみのところに辿り着けるかな ああ今年はいったいだれに頼れよう鬼門の月はふたたび来たり

短歌4首

カラオケに行く金ないから自転車の軋みの上に歌っているよ デジタルの腕時計のバック・ライトのピュイーと鳴りて暇はまぎれず この夜にきみも孤独であったらと願ってしまうを愛は許すか? つきぬけるみ知らぬ声の姦しさ求める人はその中になし

短歌3首

来ぬ人を待兼山の部室にて外姦しきを独り聞き居る 酒よりも煙草よりも歌を頼りに満たされぬいまを生き抜きたい おまえ待て待て待て待て待て寝つつ待て寝て寝て寝て寝て寝て寝つつ待て

短歌4首

朝の麦酒はなんでこんなに美味いのか恋に気づいた乙女のように 金色の乙女の恋するお相手は France 生まれの Gitane Caporal 金色の乙女の舌の雄雲雀の舌と絡みて戦慄をする 恋がすべて仮象であって悪いかとそう問うぼくは独我論者で

川柳2句

夏場には市のゴミ袋大きすぎ 援団の楽は肴になりはせぬ

俳句

夏便所魚の気配吐き気増す

短歌4首

つまらない町でつまらない男がつまらない歌を歌っていました。 今日一日喫まずにおくとわざわざに思うほどには煙草の増えて 顔知らぬ女と目合〔まぐわ〕う白昼夢教師の声のますます高く 空調の音に雨音のまじりてわれあの部屋とあまりに遠し