2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

倦怠と覚醒の夜

躰は奇妙に怠く わたしの四肢に嘔吐を迫る 身体の認識は侵され グロテスクに変容する 混沌の塊がわたしを囲み しかしそれはわたし自身の造形でもある 流線型に感覚される後頭部は わたしに成りそこねた臓物を溜め込んでいる 倦怠と覚醒に苛まれる暗闇の夜 全…

俳句(無季)

わが思い全てを文字にできるなら

綺麗な女の子になって

ぼくはむしろ 綺麗な女の子になってかの女を抱きたい と思う 綺麗な男の子になったぼくがかの女を抱いているところなど 想像できないけれど 綺麗な女の子になったぼくがかの女を抱いているところは 現実から遠すぎて かえって想像しやすい あるいはぼくの中…

『冒険王・横尾忠則』展短評 ―― 契機、永遠かつ反復的な

横尾忠則氏の絵画は、わたしに解釈を促してくる。Friedrich Nietzsche の著作がそうであるように*1。かれの描く画面には、生成の,意志の,賭博の契機が現れている。永遠であるとともに反復的である契機が。意志をもたなければ、わたしはその前でただ圧倒さ…

記憶と時間と自分と

以下の文章は、写真部の先輩、というか人生の先輩たる野郎氏のために、「記憶」という題目の下書かれた。 記憶。それを人は普通、なにか時間に関係したものとしてとらえるだろう。けれどもぼくにとって記憶は、もはや、時間の流れから外れてしまったもののよ…