2009-01-01から1年間の記事一覧

短歌4首

地名論駅の景色と乗り降りす人のみを見て語ってみせる 現でも好きだと云えぬ壊れるを恐れるいますらありはせぬのに クリスマス前いまならば言い訳があると購う〈non-no〉に〈an・an〉 モーニング・コール頼まれ困る友 = 孤独の夜に架けられる友

短歌8首

ブレーカーなん度か落とすそのうちに冬にも少しずつ馴染んでく 真夜中のマクド恢復する生の感覚募る人恋しさが こんな夜遅くに呼べる人なんていないと思うそれは逃げか 独りでも声上げ笑えるぼくだけどそれを思えばさらに虚しく 起きている人にだけしか架か…

短歌8首

静かなる独りの饗宴耽る夜露悪的な写真が撮りたい 昨日日が暮れてそれから小便をなん度?明日から授業が始まる 真夜中の灯り落とした闇の中狂った時計ただチクタクと ぬばたまの闇にもすこし馴染んだらなにかが見えるきみの帽子だ 夜の雲見ながらきみも見て…

腐肉に種まく者たち――工藤哲巳のために

未来すらも ひとたび一つの思想において仮想現実として定められたならば 腐り爛れてゆく だが その腐肉のうちよりなにものかが生じることを私たちは知っていなければならない その腐臭が私たちに 人間であることを 腐肉に種蒔くものであることを 教えてくれ…

変容における信仰,自己における無神論

本稿は、N.N. 教授の講義「自己変容の哲学」の期末レポートとして、8月7日付で提出したものに、一部改変を加えたものである。 多くの場合において、自己変容は、信仰とかかわる。無信仰から信仰へ。信仰から無信仰へ。これらも自己変容の1つのかたちと云える…

短歌8首

本当のリアリストなら最高のロマンティシストじゃなくちゃいけない 無数なるリアルの内から唯一のリアルを選ぶロマンティシスト 思い出で語られるのは他者であるもう一人のわたしの痕跡 好き好きに囁かれるは行く先か 間接照明 間接照明 脳内で言繰るだけの…

インターネット上における表現行為の公性と親密性

以下の文章は、A.A. 教授の集中講義のレポートとして、8月11日付けで、提出したものに、一部改変を加えたものである。 インターネットの普及は、芸術ないし表現行為の様相を変容させつつあり、表現行為とコミュニケーションをめぐって、新たな地平を切り開く…

短歌8首

もうそろそろ、中心となる活動の場を見直すべき時期かもしれない 最低限くつろげるまで部屋片し、本を読みつつ、酒を飲もうか。 その前に、まずは、シャワーを浴びるべし。汗流さねば、やる気がでない。 なぜいまさらあんな夢を見てしまったのだろう と考え…

短歌8首

わずかなる望みに賭けて通うことすべての歌を詠みつくすほど 言い訳をするために生きているような日々に嫌気が差し全て切る 川岸で独り寝ているきみ探し煙草の灯りじゃ暗すぎるけど その手紙3年前のものならば笑えるけれど実は去年の ヨーグルトたんとお食べ…

短歌6首

あまりにもきみへの恋に臆病で酔わなきゃ夢に見ることすらも 来春に就職 という声聞きて振り返れば懐かしき顔 すぐ帰るからねと言って出て行ってそれから今日で49日で 眠るときすら電子機器らの灯から逃れられぬは貧しき証拠か ああ………もう……………だめだ……そう…

川柳

ナバテアという音なぜか思いだし 「と/いう」という跨りをよく使い

短歌5首

ISO 感度 400i のフィルムなら夢の残滓を撮れるだろうか 倒れたる人形の下に隠された文を忘れて踊りに行った 死の恐怖それは〈私〉のないことというより〈他者〉の顕れぬこと それぞれの命への思い異なるという異なりも人それぞれで 蝉を見て怖がる娘見て嬉…

短歌14首

mixi に足跡ありし女の子足の形を想像しよう もしかして待兼山から離れたら歌が詠めなくなるのだろうか なにかから解放されたい気がするがいったいなにから解放されたい? 意味もなくリロード・ボタンをなん回も押して今宵の夢を恐れる 赤色の携帯電話を好む…

短歌4首

ああ今日もけっきょく独り残されてあられが湿気るだれか呼ぼうか 目指す先魔法のような三日月の独りの星を従えていて 玉のごと豆をどれだけ入れようとつまりはきみを引き立てるため 虫の音は綺麗だけれど馬追はうるさいのです要らないのです

川柳

恋破れ快晴なれど星見えず

短歌5首

この国の六十四年前の elle a été 「事実」以上をいまだ覚えず 罪なしの不自由さから逃れたく神の御業にわれ穴穿ち 立ち止まる生きることの意味分からなくなるだけど死にたくはないんだ たのむからぼくを騙して「すっぴんでもきみならまあいいかなと思って」…

短歌5首

15の日きみと一緒に飲みたいなぼくら自身の魂のため 早朝の部室に眠る人おりて思い出したり流星群と 朝9時の図書館前に並ぶ人本を求めて涼を求めて あの人が院試に受かるという夢を見たのはおれだきっと落ちてる わがそばに居るのは独り子猫のみ麦酒を勧める…

短歌8首

ああわれら大学生は傲慢だ 夜勤の人に共感覚え いま来れる人にアット・ランダムでメールを送る機能が欲しい 吸い殻の山に混じった褐色がおれの弱さを示すと思え きみの住む街と同じ震度だね 独りの朝に揺り起こされて 地震報震源地には知り合いはいませんで…

俳句4句

現実のいく重もなりて茸雲 蝉よりも早く落ちたるわれの恋 蝉どもは思いを遂げて落ちてゆく 涙目で蝉の落ちるを踏みつける

短歌3首

原爆をすら美しいと云えるよな無邪気が人を連れゆくかたは…… なぜだろう今日の Lark はいつもより辛い気がする側に居るのに 7月は大嫌いだと叫んでたわが身を落ちる蝉に重ねて

短歌5首

なぜ原チャとは云うのに原ケッタとは云わぬのだろ と名古屋の友と 古語の「ん」は推量だなと確認す否定で「ん」を用いるわれは この月を見てドット絵を思い出す世代の最後ぼくは位置する もう朝か?マクドからみる街の色灯の明るくて騙してくれる こんなとき…

短歌6首

うぎゃあ!また友人が "@" マーク前 "." のあるアドレスにした…… マクドにてラーク片手にペンギンを ああ明け方のバドが飲みたい 進学か就職かにより30の感慨はたぶん違うんだろな 徹夜明け数時間後に授業行くあがために添い寝する人はなし Mahler の2番を T…

短歌14首

Lévinas の無限責任思い出す「済みません」はあまりに重く この娘なぜそうするのかが分かるから恋の相手にはならぬのだな 部室にてわがそばに寝るきみそれは自室に招くと違わないのじゃ? フラ人が ユニオンは明日にオニオンはスープになる と言っていました…

短歌9首

本日の自室滞在1時間ここにはだれも来ぬと知るから 一度は不幸になってもこのおれが救ってやる とは云えないよなあ われいつも嵐の朝に生まれ出ずなんら特徴のない嵐の わが側にだれも居ないせめてもの近くの部屋のピアノの音色 わが母の面影をもつ少女泣く…

救いとしての自己変容――あるいは自己変容と他者

今セメスターの N.N. 教授の「自己変容論」講義の期末レポートの準備をしているなかで、先セメスターの同じシリーズの講義で発表したさいのレジュメが出てきたので、掲載する。なお、発表後の質疑応答をうけての改変などはしていない。また、本稿においてと…

短歌4首

諦めしわれに希望をあたえたる車の消えしに茫然と在る 遅すぎた気付くのがあまりに遅すぎた愛をいったいだれにか語らん 遅すぎた青春に後れたくないよしよう深夜の勉強会を わが側にだれも居ないせめてもの近くの部屋のピアノの音色

短歌4首

戦争とう言葉の意味も知らぬまま反戦の歌を詠うことできず きみという金糸の本に目移りし文字おう速度はたしかにおちて ラブ・ソング聴いてるうちに忘れてた死への恐怖なぜか蘇り 本当に逢いたい人は遠すぎてきみに逢いたいふりをしてみる

短歌3首

魂の不死などもう望まないからこの退屈から連れ出してくれ ただ一つ水出し緑茶ということをたよりに夏の坂道をこぐ なにひとつしなかった日に湯を浴びて汗流すことに感じる罪悪

短歌3首

甘藍を剥いた芯見て8月の6日の近きが思い出された 夢のなか曇り空下ピクニック覚めて目をさす昼陽の光 野菜さえ美味くなければ夏なんてところにゃにどときてやるもんか

短歌5首

われのごと試験監督居る部屋で子らは安らに解けるだろうか 一度とも通わなかった塾という空間でいま子らを監る違和 この子らの中にも格差あるらんと思えど実感なきは傲慢? 痛いからでも悲しいからでもなくて眠いからから寝るとうことの幸 朝風呂のあとに Co…