2009-01-01から1年間の記事一覧

短歌6首

“短歌では[……]言葉の嘘が許されます”俵氏云うが Kant 許さじ 濃紺の制服着背を向けソファーに寝ていたきみはきっときみじゃない なによりも会いたい人は居ぬだろと分かっていながらたが居ると問う すべて歌に虚実ない交ぜに詠えば新たな現を見出せるやも …

短歌4首

あの子とはいつから会わぬ恋人を従妹と偽り寮へと招く 図書館に春樹全集欠番が多く孤独の夜はすぐそこ 右目にて見れば Joan Miró のよう腕の黒子に落つる髪の毛 待つことは楽しくもあると思い出すボンゴレのため砂抜きをして

短歌3首

3度目の朝にきみは綺麗だと言えたら賭をつづけられたのに ぼくがこんなにまいっているのは夏の暑さのせいにすぎないのです なに1つきみには云わぬ Husserl の「超越論的」理解するまで

短歌4首

わがうちの吟遊詩人心病みどこへともなく行ってしまった 暗室の現像液の最中〔さなか〕より浮かび迫り来る あなたが好きだ 宿酔の朝環状線に乗り続ければきみのところに辿り着けるかな ああ今年はいったいだれに頼れよう鬼門の月はふたたび来たり

短歌4首

カラオケに行く金ないから自転車の軋みの上に歌っているよ デジタルの腕時計のバック・ライトのピュイーと鳴りて暇はまぎれず この夜にきみも孤独であったらと願ってしまうを愛は許すか? つきぬけるみ知らぬ声の姦しさ求める人はその中になし

短歌3首

来ぬ人を待兼山の部室にて外姦しきを独り聞き居る 酒よりも煙草よりも歌を頼りに満たされぬいまを生き抜きたい おまえ待て待て待て待て待て寝つつ待て寝て寝て寝て寝て寝て寝つつ待て

短歌4首

朝の麦酒はなんでこんなに美味いのか恋に気づいた乙女のように 金色の乙女の恋するお相手は France 生まれの Gitane Caporal 金色の乙女の舌の雄雲雀の舌と絡みて戦慄をする 恋がすべて仮象であって悪いかとそう問うぼくは独我論者で

川柳2句

夏場には市のゴミ袋大きすぎ 援団の楽は肴になりはせぬ

俳句

夏便所魚の気配吐き気増す

短歌4首

つまらない町でつまらない男がつまらない歌を歌っていました。 今日一日喫まずにおくとわざわざに思うほどには煙草の増えて 顔知らぬ女と目合〔まぐわ〕う白昼夢教師の声のますます高く 空調の音に雨音のまじりてわれあの部屋とあまりに遠し

俳句

朝の酒白む空抱き飛んでいる

短歌6首

愛すべき優しすぎるばかどもよおれにももっとばかにならせろ おまえらはみんなばかだと叫びつつおのれがいっとうばかでありたい 「静かに」の標識見ると田舎から出て来たいまも祖母に会いたく ぼくが幼いころ、祖母は豊中に住んでいて、滋賀に住むぼくたち一…

短歌(追記)

下に載せた、 扇風機きるよと言うと信じられないという顔でぼくを見るきみ という歌は、 yutagon24 氏の云っていたとおり、“そのまま”でおもしろみがないな と感じたので、詠みなおしてみる。扇風機きるなと云ってるきみの顔ぼくもなんだか暑くなったな 追記…

俳句3句

夏の夜に帽子はいらぬ風をこげ 茄子白飯〔しろめし〕持参し胡麻油〔ゆ〕かけて食う 雨の音部室で独り湯を沸かす

短歌2首

コーデュロイ暑さに耐えかねボタン・フライ諦めジップのチノパンを買う 鏡をば偏光フィルタを通して撮れば私が裂かれるそんな気がして

短歌2首

ぬばたまの暗室籠もり夜もすがらあけて目をさす朝の色かな 恋う人を知らぬ孤独の苦しさにきみに恋するふりをしてみる

短歌

友がため漫画の箱をあされども出でてくるのはわが悩みのみ

夢の生活の乖離

どうやら 夢の中の生活は ぼくからはなれていってしまうようだ もう1人のぼく かれによって いまやそれは生きられている 〈魂〉の生成!超越的な! もはやぼくには記述できそうもない

俳句(無季)

覚めて独り胸の底には残り酒

短歌

眠らぬ夜未〔ひつじ〕の木々に隠れらん朧月をば想いつつ喫む

俳句

怪談に怖怖怖〔ふふふ〕と嗤う宴あと

俳句(無季)

空色の記憶を銀にこめて撮る

短歌(改作)

そのままのきみを綺麗に撮りたくて魚眼レンズを傾けるぼく

短歌(自由律)

袋詰めの metamorphosis 想像力で 犯せとぼくに云っている

死んでしまった gynoid たちのために

死んでしまった gynoid たちのために ぼくは 詩を詠い かの女たちの世界をもう一度顕わそうとした けれども せかいは偽物にあふれてしまった 記号の顔をした偽物にかの女たちを構成していたことわり その探求と再構成の試みは無駄だ なぜなら そこから完全な…

俳句(無季)

なにを……なにを…………なにを……

年の終わりの詩

年の終わりに忘れるまでもなく すべてはまるで夢のできごとのよう 年の終わりを待つまでもなく ぼくはすっかり変わってしまった ほんの数ヶ月前の自分のことでさえ どんな気持ちだったかもうわからない きみの気持ちなど知りえようはずもない

2人の gynoid が殺される夢

2人の gynoid が殺される夢をみた 〈魂〉をもった2人の gynoid が かの女たちは2つの塔で殺された その光景はいく度となく繰り返された かの女たちは次々に〈顔〉を見せ その顔はたびたびに違っていたかの女たちを愛した者どもよ きみたちはまだそのことを知…

川柳

酔いどれの呻きを肴に呑む酒ぞ

より効率的な星間共通語案

山本弘氏の「バイオシップ・ハンター」には、銀河系のほとんどの知的種族が持つ3本以上の指と2本以上の腕(ないしそれに類する器官)を用いた銀河標準語が登場する*1。種族間の発声機構の構造が大幅に異なり、音声以外の手段(電磁波など)で会話する種族も…