きみの名は分かるのだけど いろいろなものがただ上滑りして行く
喫みなれた煙草味の残ってる口腔だけは現前的で
きみの名をその口の中で転がして見るけど いまはまだ分からない
だれなのか分からないまま君という言葉を詠まねばならぬと思い
少年のようにではなく大人びた少女のように恋がしたくて
満たされぬものは変わらず満たされず 妙な連帯感のみ芽生え
ぼくがいま求めるものは数撃って当たれば得られる程度のものか?
暇つぶし程度でも会ってくれればと いや そんなことないな 足りない*1
タナトスと口にすること憚られ ジャンク・フードを買いに出かける
暖かい言葉などもう要らないの ジャンク・フードはぼくに優しい
止まぬ雨 ぼくが帰らぬこと願いきみの降らしたものだといいな
運命の出会いの予感覚えつつ もっふもっふと階段降る
ガタガタとなる扇風機直す人もういないけど 捨てる気もせず
蛍光灯だけど優しい 残された夜の水溜まりに映る光は
偽物のロック野郎が 人殺すためだ と云って鋸を借りに来
わが愛撫受け入れるきみの優しさに包まれたなら今日は眠れる
あのひとが 気持ち悪い と云ったのはアスカのまねをしただけなんだ
夏の夜中山池に テケリ・リ と テケリ・リ と鳴くなにものがいる?
土曜朝目覚めてみればひとりきり 夢も現も滅びればいい
明け方に麻雀牌の音も止み そう思ったら Gnossiennes が
まだ鳴らぬ喇叭の音を知っている きっと生きてるうちには鳴らぬ
凪のようみんなはきみをそういうが ぼくにとっては台風なんだ
もしきもみの全てを詠った歌があれば それは世界を滅ぼす歌だ
夕暮れに夏の匂いを感じたら ふと思い出す プール帰りを