詩歌

短歌

白タイを着けて会わんと思いし祖母は雪の舞う日に骨となりけり 備考 [id:yuta3_21:20080128:tanka] に改作を掲載。

歪んだ道

初老の男性が喪服に身を包み歪んだ道を歩く。すれ違いながら、その貌にまだ死の色がないことを、安堵しながら少し寂しく感じる。目の前には死を象徴する建物があるので、ぼくはその領域とこちら側との隙間をのぞき込んでみる。けれどもそこにはノスタルジー…

禁止された存在様態

私の存在様態は、当局によって禁止されている 私の存在様態は、世界において絶対的に異端である 私の存在様態は、かれらの存在様態と矛盾的であるかれらの存在様態は、閉じた調和を求めていた かれらにとって私は存在の危機であった存在以前の私は、存在以前…

Shakespeare "The Sonnets" XVIII の訳

文学部共通概説の H.N. 准教授の講義のレポートで訳したものの転載。 あなたを夏の日で喩えられようか あなたはもっと美しく もっと穏やかな性〔さが〕のものだ 激しい風は五月の愛〔う〕い芽を揺らし 夏はあまりにも命短い ときに暑すぎるほど天眼は輝き そ…

グロテスクなシ

ぼくにはもう、グロテスクになりたいという衝動しか残されていなかったのですよ。かれはぼくに語る。この上なくグロテスクに息絶えているかれは。自分をグロテスクに変容させたいという衝動しか、と。 かれは少しずつ、それ以外の現実を失っていった。グロテ…

俳句(無季)

父の齢が己が死をもを思はせる

無題(改)

雨戸を閉め切って一日中電気灯の部屋で 昼夜など私にとって意味を為さなくなる ただ トイレの窓がそれを教えてくれるのみで私はその窓の闇を恐れる そこから少女の姿を装った魍魎が覗き込み 私を絶望させるのではないかという妄想によってああ 私にとって少…

ダイアローグの断念としてのモノローグ。或いはシへの渇望に対する試み。

死は常に私にとって曖昧な 揺れ動く境界の向こう側のもので その境界はあまりにもぼんやりとしているのだけれど それはきっと境界のこちら側に 私が確固たる現実を感じていないからなのだろう 私にとって常に全ては曖昧で 私にできることといえば 戯れた理論…

無題

この記事は、一部改変を加えこちらに移動しました

川柳

試験には終了の字がよく似合う

短歌

年の瀬の揺られつつ見る初雪をこの車中より去年〔こぞ〕は見ざりけり

短歌

白妙の雪の積もりてオーディオの音の変わるぞいと面白き

狂歌

類〔るい〕の骨食いて狂いしアメリカのうしと見し世ぞいとど狂わん

無題

人間の身体が美しいという奇跡 我々の美の感覚が 人間の身体を美しいと言う奇跡 私はその奇跡を歓ぶ

私の代わり

私に代わりがないということは この鉛筆に代わりがないということと 然程変わりがないのかもしれない そして現在私が存在する現実において 私の代わりが存在しないとしても 別の現実においては 存在しているかもしれないしかし僕にとって私はあまりにも密接…

私は苦悩を装っているだけかもしれない

苦悩さえも相対化されてしまう。2006/5/14

誰かに助けを求めようにも

どんな助けを求めればよいのか2006/5/14

僕は侵食される

物語を求めるあまり、虚構の物語に。2006/5/14

僕は一体

何を求めているというのだ! 誰かの助けを? 一体誰の!ただ何をするともなく 何をする気もせず2006/5/14

睡魔と覚醒の狭間の詩片

私は今すぐに眠り 夢を見たいと望む 自分がグロテスクに(エロティックに) 変形してゆく夢を その夢は私に相応しいだろうか 全ての記憶は現実性を欠き 眼前の事物のみが辛うじて現実性を保つ だがその現実性も極めて薄っぺらなものにしか過ぎない 睡魔とも…

物語の喪失と渇望

ああ、一体どうすれば 僕はこのニヒリズムから逃れることができるのだろうか 私は物事を相対化することを求め しかしそのたびに僕はニヒリズムに陥っていく 僕は物語を失ってしまったのだろうか その物語は終わってさえいない ただ僕はそれを失ったしまった…

無題

物事の膨大さと曖昧さは 私にたまらない無力感を覚えさせる もしも私が天才的な思考力の持ち主だったとしても それだけの智を持ってしても世界の真理には遙か及ばないことに 絶望するだけではないだろうか

完全な自由

もしも私が完全な自由という不可能なものを手に入れてしまったならば……。私の精神はそのようなものを全く想定していない。自由が全ての構造から解き放たれることを意味するならば、私は素裸で混沌とした全体としての世界の中へ放り出されることになるのだ。…

思考の快楽

とりあえず削除。 ある種の思考は私にとって、この上なく確かな快楽である。 思考の快楽によって精神が高揚したとき、私は楽器を操れないということを、非常に残念に感じる。 ならば楽器を操ればいいではないか。なぜ操らないのだ。 (未完)

あなた、私にとっての

私にとってあなたは何なのだ 私にとってのあなたはいったい何なのだ 私が憧れるのはあなた自身か 私が憧れるのはあなたが生み出したものか それとも 私が憧れるのはあなたが象徴するものか わたしは あなたのことを何も知らないに等しい わたしは あなたのこ…

無題

私は自分が天才にも狂人にもなれないことを知っている だから私はちょっとばかり頭の良い変人を演じてみせる しかし私は本当はあまりにも無智で無能で 私はそのことを認めなければならない、そして 私はそのことをあからさまにしなければならないのだろうか

羨ましい

私はあなたが羨ましい 例えあなたがそうであるということが あなたにとって苦悩を引き起こすことであったとしても 私はあなたがそうであるということが この上なく羨ましい

智と関与

私が世界へと関与する全ての権限を失う代わりに 世界に関する全ての智識を得られるとしたら 私はそれを望むだろうか 否! 私はそれを望みはしない 勿論私は純粋に智を求めもする だがそれ以上に私は 智をもって世界に関与し 私の存在を世界の中に確かなもの…

風船

君のために風船をとばそうとしたけれど うまくとんでくれなくて しかたなしに僕は 風船をとばす妄想をする なんども なんども

言語、乖離、虚構、現実

それはまるで私が言語から離れていくような感覚 もはや私は私自身以外の者が放つ言葉が あまりにも遠すぎると感じている 私の外部の諸所の事物は限りなく境界を薄め しかし私と外界の間の境界は更にその存在感を強める 私は現実と虚構の間の仮想的な区分が …